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日常思った事やイベント参加の感想を書いていくブログです

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観た感想 その1 変化を受け入れて前に進むという事

タイトル通りシン・エヴァンゲリオン劇場版:||、3月8日(月)に観て参りました。
いやー、キャッチコピー通り「さらば、全てのエヴァンゲリオン」でしたね。
庵野監督はじめ、スタッフ・キャストの皆さま、お疲れ様でした。

で、感想書こうと思ったんですが情報量多すぎて
私の頭じゃ簡潔に整理できない(汗)

なので、自分が思った事に絞りながら記事を分けて書いて行こうと思います。
何記事書くかも決めてないし、途中加筆修正するかもしれないし
まぁ気ままにやっていきます。

当然ですが映画を観た上での記事となっております! ネタバレNGの方、
映画を観てない人はこの画面を閉じて映画館に行って下さい!!

 

  

【変化を受け入れて前に進むという事】

で、最初の感想なのですが"シン"には
エヴァを完結させる」とか色々テーマやメッセージが含まれてると思いますがその中のひとつが「変化を受け入れて前に進む」という事だったのかなと思いました。

 

【14年の間に変化した事】

ご存知の通り”破”から"Q"で14年の年月が経過しており、サードインパクトで世界も様変わりしております。

”Q”の続きからL結界の中を彷徨っていたシンジくん達ですが
まさかの生きていたトウジ達に保護されます。

今回の”シン”はでトウジやケンスケ、ヒカリが生存している事が判明。
サードインパクトから生き残った人達は集落を作って生活しており
トウジ達第3新東京市に居た人達も「第3村」という集落を作って生活しておりました。

以前のビルに囲まれた町から文明が衰退したような生活ですが
生き残った人達は変化を受け入れて生きています。

14年の間に人間関係にも当然変化があり

トウジ:ヒカリと結婚して子供を儲ける、現在は第3村で医者をしている

ヒカリ:上記の通りトウジと結婚してツバメという名の子供を儲けている
    (名前は新幹線繋がり)

ケンスケ:第3村周辺の監視や村の記録係を担当、アスカといい雰囲気に
    (カップリングがシンジ×アスカ派のファン終了のお知らせ)

加地さん:サードインパクトを止めるために死亡していた事、
     ミサトさんとの間に息子・リョウジを儲けていた事が判明

ペンペン:野 生 化 し て 大 量 繁 殖 し て た
     ”番(つがい)”がいた事にビックリだよ

と、まあ結構な変化がございました。
あとミサトさんはじめヴィレの元ネルフメンバーも立場が変わっている存在ですね。 

「サードも悪い事ばかりじゃなかった」という台詞にもある通りサードを受け入れて生きていく中で結婚したり子供を儲けたりと嬉しい事も沢山あり、生き残った人達が変化した世界を受け入れて前向きに生きている事が描かれました。

 

【変化を受け入れる事、前に進む事】

で、ここまでは「世界の変化を受け入れて前向きに生きている人達」についてでしたが、今度はこの変化を受け入れる事になるのが観客と同じく外の世界(の変化)を知らないアヤナミレイ(仮称)と主人公シンジくんの2人な訳です。

 まずアヤナミですが(綾波レイの)そっくりさんと呼び名を付けけられながら村の農作業を手伝う内に色んな言葉や感情を学んで吸収していきます。
初めての体験ばかりで不思議がったり戸惑ったりしてたのが色々可愛かったぞ。

 今まで感情を知らずネルフ本部の世界しか知らなかった彼女が外の世界(第3村)で生きるために新しい事を学んでいき、打ちのめされたシンジくんを心配し、最後は「稲刈りしてみたかった」「さようなら」という言葉を述べての消えていくのも"Q"の頃には考えられなかった変化ですね。

そして主役のシンジくん、"Q"まで14年間眠っていた間の出来事に驚きずっと打ちのめされていましたがアヤナミに心配してもらった事で復活します。

その後アヤナミが消滅してしまいますが、そこで落ち込まずヴィレの面々と一緒にネルフ(ゲンドウ)との決戦に臨む事を決意。(テレビ版の終盤だとまた立ち直れなくなったに違いない)

最後の父・ゲンドウとの対話でも一歩も引かず、ゲンドウに「大人になったな」と言われるまでに成長しました。

"Q"から"シン"で復活するまでが”シン”後半を盛り上げるための"溜めの話”なのですが、"シン"で立ち直って前に進む事を決意してからは、もう心が折れない・挫けないんですよね。

もっと言えば”破”の終盤で「綾波を助ける」決心をする頃には強い心になってたけど"Q"でその強い心をベキベキに折られてしまい、今回ようやく立ち直れたとも考えられます。

テレビシリーズから振り返るとエヴァに乗って戦う事を何度も躊躇ったり周りの環境に振り回されて心が何度も折れていたシンジくんが
”シン”が終わるまでに前向きで強い心を持った人間に成長・変化したのは王道的とはいえ、すごく心を打たれました。

 

【「ユイを失う」という変化を受け入れれなかったゲンドウ】

変化を受け入れる事、前に進むことを決意したアヤナミやシンジくんに対して
変化した世界や変化していく事を受け入れられなかった事を表す存在がゲンドウなのではないでしょうか。 

”シン”ではゲンドウが元々孤独な心の持ち主だった事、その孤独を埋めてくれたユイを失ってしまった事を受け入れられず人類補完計画人類〜アディショナルインパクトを計画し人類の肉体や魂を単一の存在にしてしまい、ユイと再会しようとしていた事が語られました。(解釈間違ってたらゴメンナサイ)

物語前半で第3村での生活風景をじっくり描く事で生き残った人達がサードインパクト後に起こった世界や人間関係の変化を受け入れて生きているのに対して、彼は昔に失った愛する人との再会という過去から抜け出せてない事を表現しているのかなと思いました。

そんなゲンドウですが、最後はユイと再会して一緒に消滅していくという最後。
旧劇ではユイとの対話の後、初号機に上半身喰われて終わっていたのと比べると孤独な心が報われる終わり方でした。

 

【旧から”シン”で前向きに変化した終わり方】

物語の終盤も旧作から比べると前向きになものに変化しております。 

・旧劇場版を思わせる赤い海でアスカがシンジの事を
 「昔は好きだった」と語る14年の時間が経って心に「変化」があった事を
 描写するシーン

・テレビ版最終回を思わせる絵が段々コンテや線画になっていく演出

・最後は新しい世界でマリと一緒に実写の駅から出ていくシーンで
 エンドロールが流れ「終劇」の2文字で完結します。

旧劇場版はエヴァにドップリ嵌ったファンを

「お前らこんなもんばっか観てないで現実に帰れ」

と突き放すような終わり方だったのに対して
今回は旧シリーズの補完や救済、前向きな側面やメッセージを感じる事ができました。

各種インタビューや考察サイトでも書かれているように
庵野監督もテレビ版の頃から”シン”にかけて色々心境に変化があり
それが作品にも影響されていると思います。

現実の駅からアニメのシンジくんとマリが出ていく終わり方は

「”エヴァンゲリオン”の物語はここで終点です。
 駅の外には明るい現実、新しい世界が待っていますよ」

「アニメ世界の住人だったシンジ君が現実の世界に出ていく事で新しい世界に出ていく、生きていく」

など色んなメッセージや意味が含まれているのでしょう。

新劇場版も”序”から始まって14年という年月が経っており、作り手も観る側も生活環境や心境に沢山の変化が起こっています。
「変化を受け入れて前に進んで生きていく」というのを表しているのが
英題の「3.0+1.0」という部分であり
この作品で伝えたかった事のひとつなのかなと思いました。

 

【たったひとつの、冴えたやり方】 

難解で暗い終わり方をしたテレビ版や旧劇場版の救済
全ての「エヴァンゲリオン」という作品の終点となる終わり方
庵野監督の「エヴァンゲリオン」という作品を完結させるミッションの完了

 

エヴァはコミックやゲームでもいろんなストーリーや最終回が描かれてきましたが、全てを内包したこれ以上にない終わり方だったと思いました。

  

改めて庵野監督はじめスタッフ、キャストの皆さま、
お疲れ様でした!