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「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を観てきた感想 ※ネタバレあり

先週「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を観てきました。
発表当初「この話のリメイクを⁉」など色々盛り上がっていましたが、その内容は如何に?という事でいつもの感想です。
※ネタバレあり

 

 

ククルス・ドアンの島」とは

まず本作の元となったのは機動戦士ガンダム(以下ファーストガンダム、ファースト)の第15話「ククルス・ドアンの島」。
ガンダムの操縦・合体訓練中、地球連邦の救難信号をキャッチしたアムロコアファイターでとある孤島に向かう。アムロはそこでククルス・ドアンと名乗る男が乗るザクと交戦して撃墜されてしまう。ドアンはジオンの脱走兵で、戦災孤児たちとこの島に暮らしていた。そこへドアンを追ってザクがやってきて・・・。

脱走兵や戦災孤児というテーマを取り扱っているこのお話。1話完結かつ本編に繋がる内容ではないため劇場版3部作ではカットされ、海外放送でもこの話は欠番となっています(一説では反戦的な内容であるためカットされたとか)。

また、作画が乱れ気味のガンダムやザク、巨岩を投げつけたりパンチで敵を撃破するドアンザクの演出などネタ的な要素で取り上げられる事もあります。

 

本作の設定やファーストガンダムとの相違点

本作は前述の「ククルス・ドアンの島」を「THE ORIGIN」準拠の設定でリメイクしたものになります。そのため時系列がファーストガンダムと違っていたり(ファーストではランバ・ラルと戦ってる頃の話なのが、本作ではランバ・ラル編やジャブロー編終了後の話になっている)、スレッガー中尉マ・クベなどファーストではまだ登場していなかった人物も出てきます。

ククルス・ドアンに至っては「ジオンの一兵士」だったのが「精鋭部隊サザンクロス隊の隊長」という設定になっております。
そしてファーストではただの孤島だった島が、本作ではジオンのミサイル発射設備が隠されており、ドアンはそれを使われないように守っています。
そのミサイル発射設備を調査しに昔ドアンが率いていたサザンクロス隊がやって来くるのですが…。

他にも細かい所が変更がされており、テレビシリーズの1話完結の話をここまで設定を膨らませて約1時間50分の映画にするのは上手いなと思いました。


ストーリーや演出など

ストーリーはとある島の残置謀者の調査中、ドアンの駆るザクと交戦し行栄不明になったアムロが島に住むククルス・ドアン戦災孤児たちと生活、関わっていく様子を中心に描かれています。

最初は連邦の兵士という事で孤児から嫌われていたアムロが水道のポンプや発電機を直していく事で孤児たちと打ち解けていく様子がじっくりと描かれていました。

孤児たちも原作では4人だったのが20人に増えていて、賑やかで楽しい雰囲気になっていました。島での暮らしも畑を耕す様子やヤギの乳を搾る様子、雨水を溜めるなど映画という長い上映時間を使ってより細かく描かれていました。

少し気になったのはドアンや孤児たちの境遇についての説明が無かった所。
アムロがドアンたちの境遇を質問する事も無ければドアンや孤児たちから説明される事もありません。回想や雰囲気で「このドアンって人は元ジオン兵で戦争孤児を育ててるんだな」って事は分かりますが、明確な説明はありませんでした。

他にも世界観や用語の説明も無いのでファーストガンダムや元になった15話を観ている前提(は言い過ぎかもしれませんが)で、一見さんだと観ていていて「?」となる場面もあるかもしれないです。

まあ観に来るのもファーストガンダムを一通り知ってる人が殆どでしょうし(実際劇場でファーストガンダム現体験世代と思われる方が居られました)そうした方が限られた尺で話を進めやすいと判断したのでしょう。

MS(モビルスーツ)戦は終盤以外は短めの単発戦闘が中心ですが、どのシーンもファーストガンダムのMSが現代の作画でかっこよく動いています。
宇宙世紀の映像作品でコックピットが全天周囲モニターじゃないのが凄く新鮮でした(直近の作品である「閃光のハサウェイ」はずっと未来の話なのでコックピットは全天周囲モニター仕様)。
終盤のホワイトベース隊、サザンクロス隊、そしてドアンの3者が戦う様子はとてもよかったです。

キャラクター

・まず主人公のアムロ。ファーストの頃の「ガンダムに乗ることになってしまったアムロ」の雰囲気が出ていました。「Zガンダム」や「逆シャア」の時と演じ分けている古谷 徹さん凄いなーと思いました。
ブライトさんも成田 剣さんがファーストガンダム時代のブライトさんを演じるのは珍しいので、観ていて新鮮でした。

ククルス・ドアンはテレビ版と同じく逞しく戦災孤児を育てている男ですが、子供たちにヤギの乳しぼりを教えたり一緒に食事する場面、孤児の1人が「MSに乗って戦いたい」と言うのを叱るなど、優しさや厳しさなどといった人間性や内面がより詳しく描かれていました。映画という本編時間が長い媒体の恩恵ですね。

敵のサザンクロス隊は最初設定画が発表された時に「荒くれ者部隊」のような雰囲気を感じていました(「SEED」のブーステッドマンや「鉄血」の宇宙海賊みたいな)。劇中では若干その気はあったものの、そこまでぶっ飛んだ事はしてませんでした。高機動型ザクホワイトベース隊やドアンを追い詰めるのは強敵感が出ててよかったです。

他にもフラウ・ボゥやカツ・レツ・キッカなど、ファーストガンダムお馴染みの登場人物が出てきました。スレッガーさんが出てくると聞いて最初違和感がありましたが、「軍記違反してでもアムロを捜索しに行こうと提案する」のはこの人にしかできない役割だなと思い納得できました。殆どの方がファーストガンダムとはキャストが変わっているものの「THE ORIGIN」のアニメで演じられた方も居られましたので、違和感なく観る事ができました。

 

MS

ガンダム
本作では序盤でドアンザクと交戦中に崖から落ちてドアンに鹵獲され終盤まで出番無し。終盤に登場してドアンザクを助け、サザン・クロス隊の隊長機と戦うのは演出も相まって凄くカッコよかったです。出番は短くても活躍が凄く印象に残る良い例。
サザンクロス隊の人を踏みつぶしてたけど、後で足を掃除したんだろうか…。

・ドアンザク
原作ではただのザクだったのが、ククルス・ドアン専用ザクとしてリメイク。ファーストで作画崩壊して顔が長かったのが本機固有の特徴として再現されています。原作では素手や巨岩で戦っていましたが、本作ではヒートホークを装備。投石は小石(と言ってもMSサイズですが)を投げつける程度に留まりました。素手の格闘術は無かったぜ。最後は原作通り、「(ドアンから)戦争の臭いを消すため」ガンダムによって海に投棄されます。

高機動型ザク
サザン・クロス隊が乗るザク。それぞれ違う装備になっていて、ホワイトベース隊とドアンザクを追い込みます。中盤の市街地戦の連携プレーがよかった。ホワイトベース隊のMSがほぼ壊滅状態になるとは思わなかった。

ホワイトベース
ホワイトベースでお馴染みのガンキャノンガンペリーコアブースターが登場。スレッガーさんはジムに乗っていました。終盤の戦闘で全機ほぼ戦闘不能状態にさせられたのは何とも言えなかった…。まあドアンと因縁あるサザン・クロス隊を倒す訳にもいかないし、難しい所ではありますね。
現代の作画技術で動いているのがカッコよかったからヨシ!


まとめ

色々変更点を加えられた上で、しっかり「ククルス・ドアンの島」のリメイク作品となっていました。
令和の作画技術でファーストガンダムのキャラクターやMSが動くのを観る事ができるだけでも行く価値があります。宇宙世紀ファーストガンダム好きな人にはお勧めです。