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「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」を観てきたので感想 ※ネタバレあり

先日、「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」を観てきました。
ハガレン20周年という事で何年か前にやった実写映画の続編=完結編を2作に分けて公開という事で、発表時色んな意味でビックリしました。
というわけでいつもの映画感想です。
※ネタバレあり

 

前作の感想

 

感想に行く前に前作について軽く触れておきます。
前作も公開時に映画館で観ました。「ハガレンの実写映画」という事で怖い物見たさが半分、何か期待するようなワクワク感が半分でした。
で、実際劇場で観た所、所々無理がある(主に役者さんの衣装・ビジュアル面)ものの、ストーリーは映画の尺に収まるよう纏まっておりアクションやCGも悪くなく、中々堅実な内容となっていました。「この条件(キャスト、予算、上映時間など)でハガレン実写版を作りなさい」というオーダーに対して、監督やスタッフがベストな内容の作品を作り上げたと思いました。今もう1回観るとまた違った感想が出てくるかもしれないですが、公開時に観た時は満足して楽しむ事ができました。

 

2作目の感想

で、今回の「復讐者スカー」は1作目の続きで完結編2部作の前半となっています。
1作目では原作1~4巻+9巻のラスト戦が描かれており、本作では1作目で削られた傷の男(スカー)戦+原作8巻〜13巻に当たる部分が描かれています。
1作目では登場が削られた傷の男(スカー)を筆頭にリンやシャオメイ達シンの国の面々、アームストロング少佐など新キャラも沢山登場。

1作目に引き続き錬金術のCGや特殊効果、アクションも凄かったし、役者さんの演技も各キャラクターの特徴が再現・引き出されていて、ちゃんと「ハガレンの映画を観ている」という気持ちになれました。

実写版用に再構築されたストーリーが逸品

 

本作は元の話がコミックス約6冊分と結構な量なのですが、約2時間の尺に納まるように上手く再構築されていました。
例えば序盤の展開。

・列車に乗り込んだエルリック兄弟が車内で行き倒れていたリンと出会う
・リンは賢者の石=不老不死の法を探していると言い兄弟から話を聞き出そうとする
・そこに列車強盗が発生する(主犯はバルド!)が、リンのお供のランファンとフーがこれを鎮圧
・続いてエルリック兄弟に襲い掛かる2人、ピンチのエドをエンヴィーが助ける
・エンヴィーがホムンクルス(不死身の体)と聞き、それ追って去っていくリン達。
・列車強盗の工作でブレーキが効かなくなり駅に突っ込みそうになるが、エド錬金術で線路を宙にずらしてこれを防ぐ
・駅でマスタング大佐達が登場、暴れるバルトを焔の錬金術で制する
・そして列車には大総統・キング・ブラッドレイが乗っていた事が判る

ここまでの展開で
・リン達の人物像や目的
ホムンクルスエルリック兄弟に死なれては困る事(人柱候補)
・列車強盗でバルドを登場させてマスタングの見せ場(バルドを焼く場面)を作る
・大総統の顔見せ(&エンヴィーが一緒の列車に乗ってた事でホムンクルスと繋がってる伏線)
など、登場人物の性格や関係性がコンパクトに纏められていて、その後のストーリー展開が理解しやすくなっています。

列車強盗について1作目でオミットされた話をやるサプライズ&ファンサービスに加え、マスタング大佐の「焔の錬金術」の見せ場を作るという構成が凄くよかったです(今回戦闘において傷の男戦は雨で無能、あとはイシュヴァール戦の回想だけなので)。エンヴィーが最初ヒューズさんに化けてたのは「あれ?前作で死んだよね?」と一瞬観客に思わせるののもいい。アニメ1作目だと列車強盗の回でヒューズさんも列車に乗っていましたが、これを少し意識したのかな。

その後も原作の展開を順番を入れ替えたり不要な箇所削ぎ落とすなどして再構築し、原作6冊分のストーリーを2時間弱の尺に収める事に成功しています。
まさに「ハガレン総集編」とか「スペシャルエディション版」と言っても差し支えない完成度でした。


惜しい点など


このようにストーリーやCG、アクション周りはとてもよかったのですが、惜しい点や突っ込み所(?)も何点かありました。

 

 一部どうしてもコスプレに見える

 

本作語るに当たって避けられない点ですが、どうしてもコスプレした人にしか見えない場面もありました。演技や喋り方のせいで余計にそう感じるのですが「西洋人のキャラクターが多いハガレンを日本人の役者が演じる」という以上、コスプレに見えるのは仕方ない箇所ではあります。

 傷の男の人体破壊が地味なのに違和感


傷の男の人体破壊が地味なのが気になりました。原作と同じく国家錬金術師や軍人を人体破壊の錬金術で襲うシーンがあるのですが、人体破壊を人間が受けても原作みたく血が吹き出てグチャっとはならず、錬成の光がビリビリが走ってそのまま相手が倒れる、水中で仕留めて死亡する描写はボカす演出になっております。

正に優しい人体破壊。(破壊するのに「優しい」って何だろう…)

その一方で機械鎧や壁は派手に吹き飛んだり壊れたりしているので違和感が…。
観覧制限や映像規制の関係で血飛沫飛ばすのNGだったんだろうか。

もしかして国家錬金術師以外は気絶させるだけで殺してない可能性が豆粒レベルで存在する…⁉(誰が豆粒だ!)

傷の男を演じる新田 真剣佑さんはアクション面含めて迫力のある演技をされていて凄くよかったです。

あと傷の男戦のアームストロング少佐の錬金術ももうちょっと派手でもよかったかも。

 

 急に居なくなる街の人たち

 

町中で戦いだすと急に町の人がいなくなって(人気が無くなって)違和感が。町でドンパチやってるんだからもうちょっと逃げ惑う人達や野次馬が居た方が様になったかも。
あと傷の男を包囲する軍人の人数も少なかった気が…。
コロナ禍中の撮影だから密集避けたのかもしれないですね。

 

 ストーリーのテンポが速い

 

これは惜しいというと語弊があるのですが、原作コミック役6冊分を約2時間に纏めているため、どうしてもストーリーのテンポが速くなっています。そのため話に付いていくのが大変な人がいるかもしれないです(裏を返せば2時間退屈せず映画を楽しめるという事でもあります)。
見に来ている人の大半が原作やアニメ、実写1作目を見てる人でしょうが、ハガレンに触れるのが本作が初めてだと情報量多くて付いていくの大変だと思います(主演の山田 涼介さん目当てで観に来られた一見さんもいるかもしれませんが)。
少なくとも実写1作目は見ておいた方がいいです。

 

まとめ

 

何点か惜しい点もありましたが、ストーリーや役者さんの演技がしっかりしているので物語を楽しむ事ができました。紛れもなく「鋼の錬金術師」の映画でした。
漫画の実写版という事で敬遠される方もおられると思いますが、前作と合わせてハガレンが好きな人には一度観て頂きたいです。
後編も今から上映を楽しみにしています。