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日常思った事やイベント参加の感想を書いていくブログです

「大怪獣のあとしまつ」を観てきたので感想 ※ネタばれあり

先日「大怪獣のあとしまつ」を観てきました。
今まであまり描かれる事のなかった「倒した怪獣の死体処理を行う」というストーリーが話題になっておりました。

が、公開直後からネットでは「内容が酷い」だの「令和のデビルマン」だの批判の嵐となっておりました。
そんな本作を見た感想を書いていきます。


目次

特撮映画ですが、怪獣が暴れるシーンはありません(大事)

まず映画が始まって冒頭で「突如現れて大暴れしてた怪獣が突然謎の光が発生して死んだ」事が語られてタイトルロゴが映しだされます。そして怪獣が死んで十日余りたった頃から物語が始まります。


はい、特撮・怪獣ファンが楽しみにしてたであろう怪獣が暴れるシーンは回想含めてこの後一切描かれません。
怪獣は基本死体の状態でしか出てきません。

「怪獣の死体処理のお話」と言えど怪獣出てくるなら暴れる姿が見たかった。
せめて冒頭で1~2分でも怪獣が暴れているシーンを描いていたらまた印象が違ってたと思いますが・・・。


風刺&コメディ映画と思って観るべし、下ネタ注意

この映画、怪獣の死体のあとしまつをどうするか悩む大臣たちとそれに振り回されつつ現場で怪獣の死体処理に対応する特務隊の人々を中心に描いております。
大臣たちの一例の活躍を抜粋すると
・怪獣の死体処理を「あなたの省庁の管轄だろう」と押し付けあう
・怪獣から汚染物質が出てないか心配する
・腐敗ガス爆発を防ぐため処理しようとする現場に「待った」をかける
(そして爆発し、辺り一帯を悪臭が漂う事に・・・)
環境大臣が生中継で怪獣の死体に登りで安全アピール(中に足を滑らせ腐敗した箇所に落っこちる)
有識者会議を開いて怪獣の名前を決める。決まった怪獣の名前は「希望」
(発表の様子はまさに令和の元号発表のアレ
・安全宣言した直後、怪獣にキノコの菌糸が含まれており浴びるとキノコが生えてくる事をネットでリークされる
・怪獣の腐敗ガス爆発を防ぐためミサイル攻撃しようとするけど周辺地域への影響がゼロではないと聞き、躊躇する総理大臣

あと日本の対応にずっとケチをつけて安全が確認されたら怪獣の死体の所有権を主張する某隣国、怪獣の尻尾を欲しがってる大統領(多分米国)、怪獣命名の号外新聞に群がる市民、怪しい宗教団体や管理区域のフェンス越しにデモ活動を行う市民などどっかで見たり聞いたりしたような人々も描かれておりました。

これを失笑するのも笑って受け入れるのも個人の自由ですが、ここ暫くの日本で起こった出来事、尖閣諸島の漁船動画流出や東日本大震災での政府対応、そして現在進行形の新型コロナウイルスへの政府対応などを意識した(元ネタにした)内容が含まれているのは明確です。
映画だからコミカルに描かれてますが「元ネタは現実に起こった出来事なんだよな」と考えると全部笑って済まされるのかな…と思わされました。
パンフレットもざっくり一読しましたが、政府官邸のシーンはコミカルな場面が多い一方で特務隊のシーンはシリアス中心なのは「政府に振り回される現場の人々」を意識したのかも。
「事実は小説よりも奇なり」とはこの事、日本の明日は何処へ行くやら。

あと下ネタが多い。
怪獣の腐敗臭を「ウンコの臭いか、下呂の臭いか」と議論したり(最終的に銀杏の臭いに落ち着いた)、怪獣の菌糸で全身キノコだらけになった男の陰部を見て「なんであのキノコだけ形違うの?」と言ったり。
「実際の会議ややりとりもこんな感じでやってるんだろう」「下ネタ入れたら笑いが取れるだろう」ってノリでやったのかもしれないけど嫌う人は嫌うかも。
まして「怪獣」という子供も興味を抱きそうな作品で下ネタ連呼したら一部の保護者が渋い顔しないかしら。

もしかしたら「政治の風刺ネタが分からない子供には下ネタ入れた方が喜んでくれる」という判断だったんだろうか…と書いてて思いました。


テーマや俳優さん、特撮はGOOD、でも最後の最後であのオチは・・・

怪獣の死体処理というテーマはすごくいいと思います。
ウルトラ戦士や防衛チームがいない現実の日本で実際に残った死体をどうするのというのは興味深いテーマですし。

俳優さんについても主演の山田 涼介さんをはじめオダギリジョーさん、ベテランの西田 敏行さん、みなさん演技はもちろんそれぞれの役に凄くハマっておりました。

特撮部分も怪獣を「ダム爆破した際の水流で海に運ぼうとする作戦」「怪獣に穴を開けて腐敗ガスを抜く作戦」など面白いアイデアでしたし、特務隊の設備セットや活躍シーンは丁寧に作られていたのでそこは素晴らしかったです(序盤で怪獣の死体状態確認するのを防護服無しで行ってたり(案の上怪獣の体液でベタベタに)詰めが甘い部分はありましたが)。

ただ、最後の最後で主人公が「選ばれし者」(某光の巨人っぽい何か)に変身して怪獣を宇宙に運んでいってエンドロールって・・・

 

 

 

 

今まで一生懸命死体処理をやってきたのは何だったんだい?

 

 

 

物語の途中で主人公が怪獣を倒した光と関わりがある事を匂わす描写はありましたが、これに関しては終始詳しい説明は無いまま…。

そしてエンドロール終了後に「予算半分で第2弾をやる、今度はカメ型怪獣!」と言ってましたが、ネタなのか、本気なのか?



総評

見る人にとって評価が分かれる作品だと思います。
ゴジラウルトラマンのような「怪獣映画」的な要素を期待して観ると物足りない部分はあります。
一方で「現実に起こっている日本の政治問題の風刺&コメディ映画」として観れば楽しんで観る事ができると思います。
私も観る前に批判的な感想を読んで身構えていましたが楽しんで観る事ができました。


最後のシーンを除けば。


SNSやニュース記事のコメント欄の感想を読んだだけで観た気になってる方は是非映画館に足を運んで観て頂きたいです。
以上。